「清拭」は患者の生活を支える重要なケア
患者さんの生活を支えるにあたって重要なケアである清拭(清潔)ケアについて、看護師がそれを行う目的や意義、そしてケアを提供するにあたっての注意点などを紹介していきます。清拭ケアを提供するにあたっての参考にしてください。
清拭ケアの重要性
身体を清潔にすることは人間が元来持っている欲求です。さらに日常生活動作の一つでもあるため、病気や怪我で思うように動けない患者さんに対して清拭ケアを行うのは、その人の人間としての尊厳を守るという意味でも必要なのです。また、身体を清潔に保てなくなるのは社会的・精神的な悪影響だけでなく、皮膚機能に異常をきたし疾病の回復を妨げる可能性があるため、清潔援助の目的をしっかり理解したうえでケアを提供していかなければなりません。
皮膚には発汗や皮膚血管の拡張・縮小による体温調節機能があります。それに加えて、外部の刺激から保護したり、分泌物による抗菌作用などがあります。そのため、清拭ケアによって皮膚をキレイにすることで、皮膚のバリア機能が保たれ体温調節や感染予防の機能を保つことができます。また、清拭ケアのマッサージ効果やタオルの温熱刺激によって血液の循環が促進され、細胞機能の促進や浮腫の軽減が可能です。疾病や医療的な理由から入浴やシャワーが難しい患者に対しての清潔ケアとしても清拭は有効です。
医療施設によっては看護師以外の職員が行うケースもありますが、看護師が直接清拭ケアを行うことで異常があった際の早期発見や処置につながる情報収集をできるメリットがあります。直接肌に触れることで乾燥や湿潤状態の確認、内出血や熱感の有無の確認が可能となります。
行うにあたっての注意点
まず、食事の前後やリハビリ後などの体力が低下している時間に清拭を行うのはNGです。患者さんの状態は毎日異なるので、もし状態があまりよくないのであれば、全身ではなく部分清拭にするといった対応も必要です。皮膚の弱い患者さんに対しては、強い圧をかけないように注意しましょう。シワのある部分などは発赤や褥瘡になる可能性が高いので、広げたうえで満遍なく拭いて乾燥させる必要があります。パウダーを使って実施することもあります。
清拭はその内容からあまり重要視されない傾向にあるのですが、実は命に関わる可能性もある重要性の高いケアです。適切なケアが提供できなければ、異常の発見の遅れや感染の原因につながる可能性があります。特に麻痺を持っている患者さんや知覚鈍麻がある患者さんに対しての清拭は注意を払う必要があります。近年注目が集まるQOL向上の観点からも重要性の高いケアの一つですので、高い意識を持って取り組みましょう。
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