いくつかの定義が存在する
看護と一口に言ってもその意味は広く、様々な定義が存在します。そこでここでは、あらゆる人や機関が唱える看護の定義を紹介していきます。それぞれの立場で唱えられる看護の定義について理解し、理想の看護ケアを提供するための参考にしてください。
ナイチンゲール
看護師としてだけではなく、看護教育学者、社会起業家、統計学者などの肩書を持ち現代看護教育の母と呼ばれるフローレンス・ナイチンゲールは、看護とは「すべての患者に対して生命力の消耗を最小限度にするよう働きかけること」であると、自身の著書である看護覚え書で述べています。具体的に言うと、患者に新鮮な空気や太陽の光を与えて暖かさと清潔さを保つと同時に環境を保持し、最適な食事を与えることで健康を管理することです。健康な生活環境を提供し、不備なく日常生活が送れるようにサポートをするのがナイチンゲールの唱える看護の定義です。
ヘンダーソン
ナイチンゲールと同様に看護師でありながら看護研究者として活躍し、看護教育の指導者として著名なヴァージニア・ヘンダーソンは、看護師の持つ機能は「健康・不健康を問わず、各個人を手助けすることにある」と述べています。援助の形は健康の維持や回復に必要な諸活動であり、仮に患者本人が強い意志と知識を兼ね備えて自らでやりとげられる状態であっても、諸活動を遂行するにあたって援助することが看護師に求められる役割であるとしています。健康な人であっても、できるだけ早く自身の始末ができる方法を探すことが大切であるというのがヘンダーソンの考える看護の定義です。
聖路加国際大学
看護師を育成する聖路加国際大学では、看護は「人間の健康に焦点を当て、人間と環境に働きかけ、各人の到達しうる身体的側面と心理・社会・霊的側面の最高位、すなわち最適健康状態を生み出すように援助する働きととらえる」と定義づけしています。看護が必要な人との援助関係を基盤において、看護技術や知識をもって患者だけではなくその家族、ひいては地域社会が可能性を最大限に発揮できるよう働きかけることが大切であるという考え方です。
ICN(国際看護師協会)
ICN(国際看護師協会)では、健康の維持や増進のために欠かせないもので、ヘルスケアや地域社会において心身に健康的な問題を抱えるあらゆる年齢の人々のために行うケアを包含する行為を看護であるとしています。広い領域で看護を定義づけているICNが、看護師にとって特に関心のある現象は「現にある、あるいはこれから起こるであろう健康上の問題に対する個人、家族および集団の反応」であると述べています。
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